塗り壁の魅力として、意匠性と並び、その優れた機能性があげられます。身近な天然素材と左官職人の技が、長い年月をかけて育んできた日本の塗り壁。まさに、日本の気候風土や日本人の生活習慣に最も適した内装材です。
四季の移り変わりがあり、梅雨もあり、高温多湿な日本の風土に育まれた塗り壁は、優れた調湿性を備えた内装材。
湿度が高いときは湿気を吸収し、湿度が低いときは湿気を放出します。そのため、室内は適度な湿度に保たれるとともに、結露の防止が期待できます。
「塗り壁の部屋は、夏でも涼しい」というお施主様の声を、よくお聞きします。断熱性に優れた塗り壁(外壁)は、夏場の照りつける日射しを遮断して熱気の侵入を防ぎ、冬は暖かい空気が外へ逃げるのを防ぎます。室内の温度を快適に保つ塗り壁は、空調コストの軽減にも貢献します。
天然の土や砂を主成分とした塗り壁は、無機質不燃材からなり、防火性に優れています。襖や障子などの紙素材をはじめ、燃えやすい素材が多く使われていると言われる日本家屋ですが、燃えにくい塗り壁で内部を仕切ることにより、防火性が確保されるのです。
優れた吸音・防音性も、塗り壁の特徴です。下地材の上に、塗り重ねられた土や漆喰などの層が、音を効果的に吸収し、余分な反響を軽減。さらに、外からの騒音を抑制し、外に漏れる音量も抑える塗り壁は、日本の住宅事情に合った内装材と言えるでしょう。また、数値では表わせない静かな落ち着き感は、塗り壁の部屋ならではのものです。