水、土、植物など身近な天然素材を原料とする、人と地球にやさしい壁材。伝統的な素材でありながら、現代の暮らしにもうれしい数々の特徴を備えています。内装材のイメージが強い塗り壁ですが、実は、外装材としても根強い人気があります。
塗り壁とは、下地の上に、土などの素材を、荒塗り、中塗り、上塗りと何層にも塗って仕上げた壁のこと。このうち、最後の「上塗り」を土で仕上げたものが「土壁」、漆喰(しっくい)で仕上げたものが「漆喰壁」です。下地には、もともとは竹木舞下地(たけこまいしたじ)が用いられていましたが、現在は石膏ボードなどが主流です。
工法を指す呼称としては、左官職人による手仕事を意味する「左官工法」と呼ばれるほか、水で練った材料を塗布した後、乾燥期間を要することから、クロス貼りや板張りなどの乾式工法に対して「湿式工法」とも呼ばれます。
水、土、植物など身近な天然素材を原料とする伝統的な内装材として、永く愛されてきた「塗り壁」は、
といった特徴のほか、素材によっては、人にやさしく、シックハウス症候群の原因となる物質やニオイを吸着することから、近年、改めて注目されています。
伝統的な竹木舞下地(たけこまいしたじ)
荒塗り工程
「外装材としての塗り壁」と聞くと、まず、お城の外壁などの白い壁が思い浮かぶかも知れません。こうした白土と消石灰の壁は、奈良時代に生まれました。そのほか、古い民家の蔵など、塗り壁は、外装材としても日本を代表する伝統素材と言えます。
一方で、明治以降に洋風建築が建つようになると、伝統的な木舞下地とは異なるラス、煉瓦、コンクリートなどの下地にモルタルを塗った、新しいスタイルが登場しました。また、今世紀に入ってから日本でも人気が高まったスパニッシュ調住宅の場合も、塗り壁が外観のポイントになっています。これら、洋風外装材としての塗り壁の特徴は、優れた意匠性。サイディングやタイルのアクセント貼りとの組み合わせにも、しっくり馴染み、お施主様のこだわりを満たしてくれるのです。
スパニッシュ調の建物の外装材も「塗り壁」が基本