一般的に、塗り壁の種類は、仕上げ(上塗り)に何を塗るかによって区別されます。たとえば、土を塗って仕上げたものが「土壁」、漆喰(しっくい)を塗れば「漆喰壁」。ちなみに、「聚楽壁」「大津壁」などは、いずれも土壁の種類を指す呼称です。
上塗りに用いられる土の種類が、そのまま壁の個性に。
「土壁」の呼称は、左官仕上げの壁を指す総称として用いられることもあります。「京壁」とも呼ばれ、数寄屋建築や茶室に好んで用いられます。
砂で仕上げた塗り壁で、なめらかな美しさが特徴。土壁同様、風情重視の茶室や客間に用いられるほか、洋室に合うタイプも。上塗り用の砂には、粒子が均一で異物の混入が少ない、川砂が理想とされています。
漆喰(しっくい)は、消石灰に砂と糊、ひび割れを防ぐための麻スサ(繊維くず)などを加えて水で練り上げた、日本独自の塗り壁仕上げ。すぐれた調湿・殺菌機能を活かして、土蔵などに用いられてきました。表面は硬質かつ“鏡のように”なめらかで、色は白が基本。色土や顔料を加えたタイプもありますが、色ムラを生じるケースも見受けられます。
鉱物質の粉末を水で練ったプラスター(石灰または石膏)を用いた壁で、多くは厚塗りが可能。白い輝きが特徴で「西洋(スイス、フランス、イタリアetc.)漆喰」とも呼ばれますが、伝統的には石灰と砂を混ぜたモルタル状のものでした。現在は、化成のりや繊維質を混ぜたものが多く輸入されています。